綺麗な茶色いカーリーヘアーの長い髪をお団子にしてキッチンに立つ透き通った白い肌の彼女は出来立てのピザ生地にスプーンでトマトソースを塗っている。トマトソースの強い赤が彼女の白い肌を一層目立たせる。
「うん!美しい丸が描けたわよ!」
と自信満々の笑顔を私に見せつける。仕事から返って来て「疲れたもう足が痛いーー!!」と叫んでいたのが嘘の様に楽しそうに夕飯のピザを作る彼女。
そして、彼女の大好きなチーズをたくさんこぼしながらピザに乗っけていく
「太っちょアーニー!私のスリッパ上についたチーズを食べなさい!」
と足元にまとわり付く大きい猫を言葉とは裏腹に優しくスリッパで追い払う。
私はそれを隣で笑いながらオニオンスープを作る。今日は試しにビーンズを入れてみた。今日はちょっと彼氏と揉めたので、猫のアーニーと一緒に家に引きこもっていた。
いつもの様にhow was your day と聞かれたので、私は彼氏の悪口を一通り話した。話が進むにつれ、つまらない彼への不満はどうでも良くなっていく。
最後は二人で好きなYouTubeの動画を見せ合って笑い合った。
私のトロントでのお部屋探しは挫折の連続でした。
何故なら、これまで英語を学んできた私にはどうしても譲れない夢があったからです。それはなんとも子供染みた、それでいて鮮明に私の中にある夢でした。
ネイティブの友達がほしい。アメリカンドラマの様にルームメイトと一緒に騒いだり笑ったりして生活したい!
海外を転々としている私にも、自分で全て決めて行かなければならないという責任があります。自由には大きな責任が伴うんです。誰にも言い訳できません。だから私には一つだけ守らなければならないルールがあります。
決して妥協しないこと
私は私の海外生活に一切、妥協はしません。
とはカッコつけたものの、これだから挫折の連続なんです。だって、どうやってルームメイトを探したらいいのか知識がないんですもの。想像してみて下さいよ。
こんな感じだったんですよ。その時はパソコンも持っていなくて、小さなワンルームで本当に心細かったです。もう思い出すのもゾッとします。
初めに、お部屋探しのツールから見直しました。
まず、英語を母国語としている人は日本語のサイトにアクセスしたりしません。カナダにはカナダのルームメイト探しのサイトがあるはずだ!と思いつき検索しました。
始めにkijijiへアクセスしましたがとにかく見にくいのと、相手の情報が全く乗ってないので不安でした。そして、メッセージを送ってもなかなか返ってきません。
相手が見えにくいサイトは私好みではありませんでした。誰と住むかが重要なんです!
さて、どうするかと考えていた時ふと思ったんです。フェイスブックがあるじゃないですか!
日本人が思っているよりも海外でのフェイスブック利用率は多いということは前回のブログでご説明した通りです。
フェイスブックで探せば、顔が見える、生活もわかる!これなら安心してルームメイトを探せるじゃないですか。万歳!
次に思い付いたのは、ルームメイト探しのグループがあるはずと検索しました。当たりです!
😇Bunz Home Zone というトロントの鍵付きグループです。
しかし、喜んでいるのもつかの間、ここからが大変でした。グループに入って気になった物件にメッセージをしても返事が返って来ません。コメント欄を見ればかなりの競争率だということは分かっていましたがここまでとは、甘くみていました。
あまりにも帰ってこないので、自己紹介文などを付けてメッセージを送っていたのですが、効果はありませんでした。私がアジア人だからなのかと落ち込むほどです。何故なら、面白いことにこのグループにアジア人でコメントしている人は私以外見たことがなかったからです。
それでも、50通あたりメッセージを送って2通返って来ました。あの時はとても嬉しかったでが、二軒とも断られてしまいました。あの時は悔しくて泣ながらホステルに帰りました。なんだかとても悔しかったんです。
私がルームメイトを選ぶ様に、向こうもルームメイトを選びます。ビジネスでやっているシェアハウスのオーナーではないんです。個人個人のやりとりなので、みんな気の合いそうな人と生活したいですよね。
お部屋探しブロンドじゃなきゃだめなのかなと馬鹿なことを思うほど弱気になってフェイスブックを眺めていたら、まだルームメイトを探していますと、再投稿している人がいました。その部屋はお腹の大きい猫ちゃんがいて、眺めのいいバルコニーがありました。私が絶対ここがいい!とグループに入って初めてメッセージを送ったところです。
まだ空いていますか?と出来るだけしつこくない様にシンプルな文章でコメントしました。すると返事が直接メッセンジャーで返って来て、すんなりと部屋の見学が決まりました。飛び上がりました。
私を待っていたのは、長いカーリーヘアーが魅力的な女の子とブロンドに染めた髪の背の高い女の子でした。二人は幼馴染で長い間一緒にいるので会話のテンポがとても早く、これがネイティブスピーカーかと圧倒されました。
カーリーヘアーの女の子がかなりのお喋りでブロンドの女の子が素早くあいづちを入れます。
「どちらと私はアパートを共有するの?」
と話を聞くとブロンドの女の子は長期ボランティアでペルーへいく予定なので、ルームメイトを探しているとのことでした。
少しおしゃべりをして、アパートメントを出ました。
二日後に返事が来ました。
あの時なんで私にしたのとAriちゃんに聞いたことがあります。
「7人の見学者の内、部屋のことじゃなくて私達のことについて質問して来たのがりおだけだったからだよ。」
といつもの気持ちのいい笑顔で答えるAriちゃん。
「それに私は白人で白人の友達しかいないからね!あはは!面白くなると思ったんだ!」
といつもの様に自分を白人というAriちゃんが面白くて大好きです。
Ariちゃんは私がどれだけAriちゃんに救われていて、感謝しているか絶対に分からないと思います。
いつも家に帰るとhey what up と声をかけてくれて、how was your day と聞いて来てくれてる。嫌なことがあった日もAritちゃんに話すと笑い話になったり、Ariちゃんが勝手に顔を真っ赤にして怒ったり、本当に家に帰ってくるのが毎日楽しみです。
そんな日々も今月で最後になります。7月にペルーに行っている幼馴染が帰って来ますから。そして私はヨーロッパへ行きます。
書いていてホロホロと涙が出てきてしまいました。恥ずかしいのでこれはAriちゃんには秘密です。こんなに頑張った!とは思いません。本当に拾ってもらったという表現がしっくりくるほど、あの時の私はひとりぼっちでボロボロでした。
さて、暖かくなってきたので、Ariちゃんにカナダで一番美味しいアイスクリームが食べたいと駄々をこねてきますね。